オルタードを理解する前に知っておくべき5つのこと(その8)

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第8回:上がるオルタードフレーズってどうなるの?

こんにちは、ジャズギタリストの小暮哲也です。

今回のテーマは、「オルタードの“上がる”フレーズの特徴を知る」です。

オルタードフレーズというと、多くは“下がっていくライン”が多いのですが、では「上がっていく場合はどんな響きになるのか?」というのを、実例とともに紹介していきたいと思います。

今回は全部で4つのフレーズをPDFでご用意しました。動画とあわせて、ぜひお楽しみください。


まずはPDFをダウンロードしよう

今回のフレーズは、上昇するラインの中でも、よく使われるパターンを中心に4つ紹介しています。

1番目と2番目は、いわば「定番」の上昇オルタードフレーズ。

3番目と4番目は、スケールっぽく(スケールライクに)聞こえるように工夫された、流れのあるラインになっています。


フレーズのポイントをわかりやすく解説!

① #9thから上がっていくフレーズ(1番目)

このフレーズは、#9(シャープナイン)から始まって、3度に向かってクロマチック(半音階)で上がっていく構造になっています。

✔️ ポイント:

  • 最初の音は“外れた感じ”がしますが、3度でしっかり落ち着きます。
  • 解決先が明確なので、耳にスッと入ってきます。

② #11thから上がるアプローチ(2番目)

こちらは#11(シャープイレブン)から始まり、5度へクロマチックに上がっていくパターン。

✔️ ポイント:

  • #11は張りのある音なので、インパクトがあります。
  • 5度に上がることで安心感が出ます。

③ ♭9thから駆け上がって5度に乗せる(3番目)

このフレーズは、♭9(フラットナイン)から一気に上がって、5度の音に“乗せに行く”ような形。

✔️ ポイント:

  • 「下がる」オルタードと違い、少し意外性のある響き。
  • 勢いよく上がることで、流れを作ることができます。

④ 7thから駆け上がって3度に解決(4番目)

7thから始まって、3度に向かって一気に上昇するパターンです。

✔️ ポイント:

  • “上がって落ち着く”という流れを作りやすい。
  • フレーズ全体が軽やかで、明るく聞こえる傾向があります。

実際の演奏から見えてくること

動画内でも弾いていますが、これらのフレーズは“始まりの音”だけを見ると「上がってないじゃん」と思うかもしれません。

でも、最終的に3度や5度といった「安定感のある音」に向かって上昇していくアプローチなので、結果的には「上がるフレーズ」として感じられます。

フラット9やシャープ11のようなテンションから始まり、しっかりと目的地に到達するという感覚。

これはとても重要です。


まとめ:上がるフレーズにも法則がある

今回のポイントをまとめると:

  • オルタードフレーズの多くは“下がる”けど、上がるパターンも確かにある!
  • 上がるときは、#9、♭9、#11、7thなどのテンションを経由して、3度や5度に“着地”するのがポイント。
  • スケールライクな流れを意識すると、自然に聞こえやすい。

今回紹介したフレーズも、第4回で紹介した「オルタードしないフレーズ」と組み合わせることで、さらに実践的になります。

ぜひ、PDFと動画を活用して練習してみてください。

次回(第9回)は、よく出てくる“ありがちなフレーズ”について紹介する予定です。

それでは、また次回お会いしましょう!