オルタードを理解する前に知っておくべき5つのこと(その4)

PDFはこちら(前回の復習)
PDFはこちら(あえてオルタードしない)


第4回|オルタードを理解する:あえてオルタードしないフレーズで学ぶ

こんにちは、ジャズギタリストの小暮です。

このシリーズも第4回目となりました。今回はちょっと変わったアプローチをしてみましょう。

オルタードスケールを勉強していると、どうしても理論やスケールのことばかりに目がいってしまいがちです。でも、逆に「オルタードを使っていないフレーズ」をしっかり覚えておくと、いざオルタードを使った時に「あ、ここが違うんだな」と感覚的に理解しやすくなるんです。

今回は、そんな「あえてオルタードしていない」フレーズを3つご紹介します。どれも私の大好きなギタリスト、グラント・グリーンのようなダサかっこいいスタイルです!

その前に、前回のおさらいをしておきましょう。


前回の復習:オルタードスケールの導き方

オルタードスケールを思い出す時、いちばんシンプルな方法があります。

G7での例:

  1. Gの半音上、つまりA♭のメジャースケールを弾く。
  2. そのスケールの3番目の音(ミ)を半音下げる
  3. それをGの音から弾くと、G7のオルタードスケールになります。

これは実は、メロディックマイナースケールの応用でもあります。
クラシック出身の方ならご存知かもしれませんが、

  • ナチュラルマイナー(自然的短音階)
  • ハーモニックマイナー(和声的短音階)
  • メロディックマイナー(旋律的短音階)

この3つのスケールのうち、メロディックマイナーを半音下から使えばオルタードスケールと一致するんです。


では、あえて“オルタードしない”フレーズを紹介!

ここからが今回の本題です。

これから紹介する3つのフレーズは、どれもドミナントセブンス(G7)の上で使える「オルタードしていない」フレーズです。

まずは1つ目のフレーズ。テンポはゆっくりでいいので、バウンス感を意識して弾いてみましょう。

(※PDFにTAB譜付きで掲載)

2つ目は、少し寄り道をするような進行で、DマイナーからG7へ向かう途中に独特の雰囲気が出せるフレーズです。

3つ目は、ルートから始まって少しメジャー7のニュアンスも感じられる、ちょっと意外なアプローチです。スライドを入れても良いし、あえて省いてもOK。

どれも「シンプルだけど味がある」──そんなグラント・グリーンらしいフレーズです。


ダサかっこいいって最強!

グラント・グリーンのフレーズって、正直ちょっとダサいと感じることもあるかもしれません。
でも、そのダサさがまた“かっこいい”んです。

あまりにも完璧なフレーズより、少し人間味のあるサウンドの方が心に残る──私はそんな風に思っています。

だからこそ、こういう「ダサかっこいい」フレーズをぜひ体に叩き込んでみてください。


次回は「裏コードとオルタード」

次回はいよいよ、「裏コード」と「オルタードスケール」のつながりについてお話ししていきます。

ここまでの知識がつながってくると、オルタードがどういう場面で役立つのかがグッと見えてくるはずです。

それでは、また次回もお楽しみに!