ジャズギターを聴いてみよう!

効果的なジャズギターの聴き方

ジャズギターはかっこいいけれど、ロックやポップス、フォークなどのギター演奏はなんとなく聴き取れても、ジャズギターになると「何を弾いているのかよくわからない」と感じる人も多いでしょう。そんな方のために、ジャズギターの音楽をもっと分かりやすく聴ける方法を紹介します。少し視点を変えて、聴きどころを意識すると理解が深まりますよ。

ギタートリオがおすすめ!

ジャズギターには、ビッグバンドやソロ、ストリングス、サックス入りコンボなど、さまざまな編成があります。いずれも素晴らしいですが、初心者には「どれから聴けばいいのかわからない」という声もありますね。そこでおすすめなのが、編成を統一して聴き比べる方法です。ギター、ベース、ドラムのギタートリオで演奏されている音源だけを集めて聴いてみましょう。そうすると、ギタリストごとの特徴を比較しやすくなります

Q: 編成を統一するってどういうこと?
A: それはズバリ、ギター、ベース、ドラムの編成のギタートリオで演奏されている音源だけを聴き比べるということです。

よく「ギタートリオだとギタリストの実力がわかる」と言われます。その理由は以下のような点が挙げられます。

  • テーマ(メロディーとハーモニー)のほとんどをギターで演奏する必要がある。
  • ベーシストのソロがあるときはギターで伴奏(コンピング)しなければいけない。
  • ドラマーとの掛け合いで曲を盛り上げる必要がある。
  • ベースとドラムを使ってバンド全体のアレンジを組み立てる、コミュニケーション能力も求められる。

これらの理由から、一度にいくつもの要素が要求されるのでギタリストの実力が問われやすいのです。また、トリオ編成は他の楽器が少ないためメロディやハーモニーが聴き取りやすく、曲をコピーしやすいという利点もあります。

おすすめギタートリオのアルバム

  • バーニー・ケッセル/The Poll Winners – ケッセルの太い音が心地よい名盤です。1956年録音で、当時の『ダウンビート』誌などの投票で各楽器別ベストプレイヤーに選ばれた3人(ケッセル、シェリー・マン、レイ・ブラウン)がトリオを組んで演奏しています。アレンジの素晴らしさとバンドのコミュニケーション力が聴きどころで、ジャズギタートリオの正統派サウンドが詰まっています。
  • ケニー・バレル/A Night at the Vanguard – ニューヨークの有名クラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」でのライブ録音です。28歳という若さで異例の完成度を誇る演奏で、「ジャズギタリストとしての完成度の高さ」という点で名高い一枚。バレルのスピード感あふれるギタートリオ演奏をたっぷり楽しめます。
  • グラント・グリーン/Green Street – ブルーノートを代表するグリーンのセカンドアルバム。基本的に単音でクールにスウィングする演奏が特徴で、黒っぽい雰囲気が感じられる1枚です。有名な「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」ではメロディの美しさを追求した名演も聴け、グリーンのギタートリオならではの魅力に溢れています。
  • ジョー・パス/Portraits of Duke Ellington – ジャズの巨匠デューク・エリントンのナンバーを集めた1974年録音の作品。全編がトリオ演奏ではありませんが、パス得意のギターソロ演奏が随所に挿入されており、飽きさせないバランスです。職人技のようなパスのプレイを堪能できるアルバムです。
  • ジム・ホール/Live! – ホールはビル・エヴァンスやロン・カーターとのデュオ作品で有名ですが、トリオ演奏でも素晴らしいアルバムを残しています。この『Live!』は1975年にトロントで録音されたライブ盤で、前衛的でスリリングなインタープレイが楽しめます。

これらのアルバムはすべてギター、ベース、ドラムの編成で演奏されており、それぞれ個性的で聴きどころ満載です。今回はこの5枚を紹介しましたが、他にもまだまだ名盤はたくさんあります。興味のある方は自分のお気に入りのギタリストを探してみてください。

残念ながらウェス・モンゴメリーにはベース+ドラムのトリオ編成のアルバムはありません。個人的にも彼のトリオ演奏を聴いてみたかったですね。