第1部 フレーズひとつ覚えるだけで確実にうまくなる!

PDFはこちら

アルペジオなんかいらない?フレーズひとつ覚えるだけで確実にうまくなる!

はじめに

ジャズギターの練習として、コード進行に合わせてアルペジオをパラパラとつなぎ合わせるように弾いている方をよく見かけます。

たしかにこの練習を続けていると、音が外れなくなってきてメロディがつながって聴こえるようになるので、「自分、上手くなったかも!」と感じることもあるでしょう。

ところが、しばらく経つと「なんだか違うなぁ」と違和感を覚え始めます。

冷静になって、優れたジャズプレイヤーたちの演奏を観察してみると、実際にはアルペジオを順番につなぎ合わせて弾いているようなフレーズは、ほとんど見当たりません。

このとき初めて、「これはジャズじゃなかったんだ」と気づくのです。

アルペジオ練習の落とし穴

アルペジオをつなげて弾く練習は、指板を理解するという意味では一時的には役立つかもしれません。

しかし、それを「正解」だと思って続けてしまうと、必ずどこかで壁にぶつかります。

アルペジオやスケールは、あくまで楽曲を理解したり、フレーズを分析したりするための道具です。

その分析を積み重ねて、ジャズらしい音の動きを理解できるようになって初めて、自然なフレーズやメロディが聴き取れる耳が育っていきます。

そうなれば、アルペジオやスケールを骨格にしながらも、よりジャズらしい独自のフレーズを自分で作ることも可能になります。

ただし、これはかなり根気が必要です。

多くの人は途中で挫折して、再びアルペジオを順番に並べる奏法に戻ってしまうのです。

私も、かつてはその一人でした。

では、どうすればいい?

そこで今回は、「アルペジオパラパラ奏法」から脱出するための練習法を、ステップに分けて紹介したいと思います。

ポイントは、フレーズはたった1つ覚えるだけでいいということです。ただし、ステップを進めるごとに難易度は少しずつ上がっていきます。

最終的には、この練習をマスターすることで、まるで”ギター仙人”のような演奏ができるようになるかもしれません!

ぜひ最後までご覧ください。

【ステップ1】

フレーズを確実に覚えて、前後の音を自然に埋めていく

まずは基本となるフレーズを覚えましょう。これはオリジナルポジションで、ドミナントコードで使えるフレーズです。

YouTubeでは「枯葉」を例にしていますが、自分の好きな曲で構いません。前後の音を自然につなげていくことを意識してみてください。

【ステップ2】

4つのポジションで前後を自由に埋めていく

①1弦2弦3弦の組み合わせ

②オリジナルポジションの2弦3弦4弦の組み合わせ
こちらは第1ステップ参照

③3弦4弦5弦

④4弦5弦6弦

【ステップ3】

運指を変えて、自由度を高める

①1弦2弦3弦の組み合わせ
この組み合わせはありません。

②オリジナルポジションの2弦3弦4弦の組み合わせ


③3弦4弦5弦

④4弦5弦6弦


【ステップ4】

スライドのテクニックを使う(特に2弦から)

ここではスライドを使って、フレーズに色気やニュアンスを加えてみましょう。

ちょっとした工夫で雰囲気がガラッと変わりますので、いろいろと試してみてください。

【ステップ5】

フレーズをフェイクする

ここは「守破離」でいう「破」の段階です。

覚えたフレーズを、自分なりにアレンジ(フェイク)してみましょう。

ただし、オリジナルのフレーズをしっかり覚えてから行うことが大切です。

そうしないと、自分が何をしているか分からなくなってしまうからです。

【ステップ6】

あらゆるコードに応用する

これは「守破離」の「離」にあたります。

ドミナント7thだけでなく、メジャー7th、マイナー7th、ディミニッシュなど、さまざまなコードに応用してみてください。

【ステップ7】

仙人になる

ここまで来たら、あとは人里を離れて“ギター仙人”になってください(笑)


ぜひ、楽しみながら練習してみてください。あなたのジャズギターが、きっと変わってくるはずです!